冬期講習中に校内の植物を観察するという授業を行いました。少し寒いのを我慢すれば、落葉している植物と常緑の植物とがはっきりと判り、ある意味、冬は観察に適した時期なのです。ただ本来立派な高木に育つはずのスダジイやタブノキといった常緑の照葉樹(ツルツル、ピカピカした葉をつけます)に元気のないものが多いのが残念です。開校してまだ日が浅いので、樹木を支える土壌の力が弱いのでしょうか。
しかし、そんな中で低木の照葉樹であるヤツデは比較的元気です。葉に特徴的な切れ込みがあり、別名「テングノハウチワ(天狗の葉団扇)」などと呼ばれ、誰でもすぐに覚えることのできる植物です。今回はヤツデのユニークなところを紹介します。
その1、花のつき方がユニークです。小さな花はボール状に咲き(小花序といいます)、さらにそのボール状の花のかたまりが円錐状に配置されるという形になります。校内のヤツデはこの円錐状の配置がややわかりにくいですが。
その2、花をつける季節がユニークです。ヤツデの花期は11月~12月とされており、理科棟裏のヤツデは今も花をつけています。昆虫の少ない時期ですが、それでも活動する昆虫が全くいないわけではありません。そのような昆虫には貴重なエネルギー源となる蜜を提供し、確実な訪花を受けるという戦略だと考えられます。強いて例えれば、深夜に営業しているコンビニのような存在です。試しに花粉を付けている花をいくつか舐めてみました(真似するのはお勧めしませんよ)。確かに甘い! 量は少ないはずですが、これだけはっきりと甘さを感じるということは、かなり糖度は高いのではないかと推測されます。
その3、それぞれの花において雄の時期と雌の時期が分かれている(「雌雄異熟」といいます)のがユニークです。ヤツデの場合は先に花は雄しべを伸ばして花粉をつけた雄花の状態になり、その後雄しべと小さな花弁を落として雌花の状態になります。このような様式を雄性先熟といいます。写真から、どちらが雄花の時期でどちらが雌花の時期かわかりますか?この両方が1本の個体に同時についている状態で見ることができます。
【問題】雌雄異熟という性質にはどのような効果があると考えられますか?
どんな生物にも種ごとにユニークなところがあり、そこにその生物が進化の過程で培った生きるための戦略が隠されていると言えるでしょう。そんな視点で校内の生物たちを見守ってあげてください。きっと面白い発見があると思います。
【キーワード】 照葉樹 花序 雌雄異熟












