みなさんへのメッセージ~理事長対談~

Interview

対談4モンベルグループ代表・登山家:辰野 勇氏 自分の「好き」へ進み続けること、それは未来の糧となる。

夢を意識している人だけが、チャンスを掴める。

辰野
私は大学で講義をする機会をいただいたりもするのですが、面倒くさそうに講義を受けている学生を見かけることがあるんですよね。もったいないなぁ……と思ってしまいます。
この一番大事な時期に時間の無駄遣いをしている場合じゃないでしょう、と。

本学理事長:奥田
本学理事長:奥田

奥田
おっしゃるとおりですね。
大阪国際中高は、「やりたいことがあって、将来そのやりたいことのための力が身につく」道に進めるようにサポートする学校にしたいと思っているんです。
有名・難関大学だから行くとか、そういうことではなく、本当にやりたいことや興味のあることがあるかどうか。その観点で生徒には進路を決めてほしいな、と。

辰野
大学の卒業資格が必要だとか、そういう事情があれば良いですが、ただ何となくで進路を決めるのではなく、自分のやりたいことに時間をかけて、もっと有意義に過ごした方がいい。
僕のアメリカ人の友人がよく言う言葉で、好きなものがあるんです。
「Do what you like」「Like what you do」好きなことをやりなさい、やっていることを好きになりなさい、ってね。
好きなことだから頑張れるんですよ。だって山登りだって、あんな雪山に重い荷物担いで、どうして行くんですか。好きだから行くんですよ。
他の人からみたら苦労に見えるかもしれないけど、楽しいからそういう頑張りができるんです。
誰かに指図されてやっていたら、それは楽しくないと思います。
やっぱりさっきの「Do what you like」「Like what you do」、この考えが一番基本ですね。「好きを仕事にしなさい」って。

奥田
すごく良い言葉ですね。講演でそういったお話をされることは多いんですか?

辰野
よくありますね。このお話をして印象的だったのは、複数の企業から人が集まる、新入社員の研修の一環として講演を依頼されたときのことです。
終わってから、一人の若者が私のところに来て。「実は入社したけど、今日辰野さんのお話を聞いて、ここを辞めようかと思っているんです」と。新入社員ですよ?!
ただ、自分が選んだ道は、自分の好きな道ではなかったと思ったんでしょうね。

それで聞いたんです。「辞めるの?」「何をしたいと思ってるの?」って。
そしたら彼はね、「実は映画監督になりたかったんです」と言いました。
奥田さんはこういう方に、なんて言いますか?教育者として。

奥田
新入社員の歳だったら、自分の思う道に進んでみたら、と言いますね。

辰野
この答えはだいたい2通りあると思うんです。 「そんなん言わんとしっかり頑張りなさい!」と言うか、もう一つは「それだったら辞めて、やりたいことやってみな」って伝えるか。
2択のように思えるけど、私はそう言わずに「どんな映画を作りたいの?」って訊きました。
映画監督になるのは目的じゃない。要するに、監督になって何をしたいの?どんな映画を作りたいの?って。大事なことですよ。

奥田
なるほど。夢を実現するためのスタート地点で考えておくべきことですね。ゴールがぼやけていると、途中で道を見失ってしまいますから。
そして、その人は何と答えたのでしょうか?

辰野
「人を感動させる映画を作りたい」と彼は言いました。「ちなみにどんな会社に就職したの?」と訊いたら「介護用品を扱う営業です」と。
ええやないですか。社会的弱者の人の助けになるんでしょう?と。
そういった方と接触するからこそ、色々と見えてくるものもあるんちゃうか、と。
その間で映画監督になりたいという気持ちは持ち続けたらいいし、モチベーションが続かないなら辞めたらいい。

私は、何かを成したいと思ったら、いつか絶対にチャンスが来ると思うんです。
チャンスというのは必ず「前から来る」。そしてチャンスは必ず、誰しもに等しく降り注いでいるんです。誰かだけにたくさん降り注ぐなんてことはない。
イメージの話なんですが、前からやって来たチャンスは、通り過ぎる前に掴まなきゃいけないんです。前から来たものを前で掴むには、やってくるのを待ち構えなきゃいけないですよね。
そういう意識を持たずに漫然と生きていると、チャンスが通り過ぎていくときに初めてその存在に気づくんですよ。「あぁ、あれがチャンスだったんだ!」と気づいたときには手遅れになっているものです。

ずっと夢を追い続けなければならない、とは言いません。
でも本当にやりたいことがあるのなら、夢に対する気持ちが絶対に必要です。私がアイガー北壁を目指したときは、たまたま出会った山好きの人が、最終的に一緒にアイガー北壁を登る仲間になりました。必ずそういう存在に出会う場があるんですよ。でも漫然と生きていると、それに気が付かないんですね。

奥田
感慨深いお話です……。大事なのは自分が何を望み、大切にしたいと考えているか、明確にし続けることなんですね。

辰野
よく言われるのが、「辰野さん、あんたは会社を立ち上げて成功したし、そこまで上り詰めたからそんなこと言えるんちゃうか」って。
違う、絶対違う! 最初からずっと、その価値観をもって進んできたから、自信をもって言うんです。

私は、「自分は幸せだ」と明快に答えられる人は、「何をもって自分は幸せなのか」をハッキリ理解しているから、そう言えるんだと思うんです。
それは価値観が明確で、大きな視点で全体的に物を見ることができているということ。
やっぱり「Do what you like」「Like what you do」、自分のやっていることを好きになって、自分の価値観をもっていないと、チャンスも掴めないし人生の時間がもったいないですよ。

奥田
ぜひ子どもたちに伝えたい考え方です。
私たち教育者にとっては、やはり子どもたち一人ひとりに幸せになってもらいたい、というのが第一の願いです。一人ひとりのかけがえのない人生の中で、自分が納得のできる道を選べるように、子どもたちの夢へ向かう姿勢を育んでいきたいと思います。

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